EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)によるギリシャ救済案
10日に発表されたEU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)によるギリシャ救済案の発表も、市場に与えた影響は一時的なものとなった。
EU財務相理事会は10日、IMFと協力のうえ、ギリシャ債務危機の波及を防ぐにため最大で 7500億ユーロ規模の緊急措置を講じることで合意したと発表した。
週明け月曜の外国為替市場ではこの発表を好感し、ユーロドルでは1.3100付近まで値を戻すこととなった。
しかしその後は続落、12日には異例とも言えるECB(欧州中銀)による国債市場への介入も発表され、瞬間的にユーロが買い戻される場面もあったが上値は重く、週末に向けて下落を続けることとなった。
13日にはスペインとポルトガル政府が赤字削減に向けて緊縮財政措置を表明したが、市場にはかえってユーロ圏成長への懸念材料と受け取られ、ECBが超緩和策を長期間維持するとの観測が広まったため、5月に入って下値抵抗線となっていた 1.2600を一気に突破することとなった。
14日にはユーロへの悪材料となる噂に市場が敏感に反応、ユーロ売りの勢いがさらに激しくなった。
ニューヨーク時間には2008年末から 2009年にかけての下値抵抗線となっていた1.2500を下抜け、さらにストップを巻き込んで約1年半ぶりの安値となる1.2350付近まで下落することとなった。
やや軟調ながら、週半ばまでは116円半ばあたりをサポートラインとして持ち合い相場を現出していたユーロ円も、14日のユーロ売りは支えきれず、113円半ばまで下落することとなった。
ユーロのみならず先週はポンドも対ドルで軟調気配。
英国では保守党と自由民主党の連立政権が誕生、財政再建問題に直面しているが、12日にはキングBOE(英中銀)総裁の量的緩和策を否定しないという発言によりポンドが売り優勢に転じ、さらに13日にはユーロ圏の輸出低迷で、英経済成長への下向きリスクが強まったと発言、ユーロの下落と同調して14日には1.4500付近の底値をつけることとなった。
米ドルがリスク逃避の買いでやや堅調となるなかドル円は91円80銭付近までの下落と、 13日の高値93円60銭付近からの下げ幅はユーロドルに比して限定的となり、これがユーロ円の下支えとなったようだ。
これからの材料と相場展望
現時点でユーロの軟調さを覆す要因はなかなか見つけられないが、今月に入ってユーロは対ドルでやや急激に売られ過ぎた感がある。
明日18日には、ユーロ圏と英国の消費者物価指数など欧州圏の主要な経済指標の発表があり、この発表を前に市場は一旦対ドルのユーロショートを解消する動きに出るかもしれない。
ユーロドルのレベルがある程度持ち直しているようなら、再び下値トライへのポテンシャルが蓄えられると思われる。
現在市場参加者の多くが、ECBによる買い入れ債券の不胎化計画に関するさらなる詳細についての発表に注目しており、その発表内容や要人の発言次第で、再びユーロは1.2000を視野に入れた下方向への大きな振幅を示現させるかもしれない。
一方で、ユーロドルでは 2006年半ばから積み上げてきた上昇幅を一旦全て吐き出しており、1.2300前後にはある程度まとまったビッドもあるため、新しい下振れ要因が生まれてこない場合は、市場は下値トライに対して慎重になるかもしれない。
英国では19日のMPC議事録公表や20日の小売売上高指数の発表が控えているが、市場参加者の間では財政再建のための支出削減が経済にもたらす影響を懸念する声や増税に対する警戒感が高まっており、英ポンドも対ドルでは引き続き軟調気配となりそうである。
ドル円は、クロス円の下落で下方向への動きを見せる場面が多かったが、逃避通貨としてのドル買いに加え、中国が欧州情勢の不透明感から世界の株式市場が脆弱になっていることを背景に、人民元の切り上げを先送りするのではないかとの観測も広がっており、方向感に乏しい相場展開が予想される。
豪ドルの対ドルにおける上昇力にやや翳りが見える中、カナダドルではなお上値の余地がありそうだ。市場は21日に発表される消費者物価指数に注目しており、これが予想以上に強い数字であれば6月の政策金利引き上げの期待が広がり、カナダドル買いが強まるかもしれない。